黄色の一般的なイメージは、
太陽、明るい、希望、注意・・・などがあります。
なぜ?黄がそのようなイメージを持つのか?
歴史的な側面からルーツを探ってみました。
黄は、「東洋の色」と言われています。
ヒンズー教・道教・仏教・儒教においては「最高の色」です。
中国の陰陽五行説では、黄色は中国の国土を象徴する色。
そして、国土を治める皇帝の色となりました。
映画ラストエンペラーでも、北京の紫禁城の屋根瓦が、
萌黄色で皇帝色を表していました。
大地の生命力や生産力を神格化し、地母神と呼ばれていますが、
農耕民族にとって、大地は農作物を生み養う偉大な母神、
つまり、「母なる大地」で多産・肥沃・豊穣を表しています。
米が主食の日本人にとって、
成熟期の稲穂は、黄色いじゅうたんが広がったように見え、
黄は、黄金ともいわれてきました。
日本も皇太子の色は「黄丹色」(おうにいろ)と決まっています。
また、黄は大地だけでなく「天地根源の色」といわれ、
天、、つまり太陽の象徴でもあります。
その由来は、神話にあります。
神話は、天地創造からの神々の物語です。
神話ではありますが、世界の伝承文化となっています。
ギリシャ神話を代表する太陽神はヘリオスで、
ヘリオスは、「太陽・日」を意味します。
太陽の輝く光輪を冠した美男子ヘリオスが、
天空を人格化した男神とされています。
日本も古事記や日本書紀には、
天照大神が太陽神であると記されていますが、
神田の稲を作り、五穀豊穣の新嘗祭を行う女神でもあります。
つまり、
黄は、地球上のすべての生物を育てる父性的な太陽の光と、
万物を胎内に抱く母性的な自然の大地を合わせ持つ色です。
黄は「元気」のイメージがあるように「気」が元の色ですね。
色の中でも一番明るい色なので、目立つという特性を持ちます。
危険の標識として用いられることから、
「注意」というイメージも定着しています。
黄は、東洋にとっては、最高の色ですが、
キリスト教では、裏切り者のユダの色であったり、
中世ヨーロッパでは、ユダヤ人と娼婦は黄色の衣服と定めたり、
フランスでは、重罪人の家の戸を黄色に塗るなど、
良い印象の色ではありません。
スポーツの「イエローカード」も不正に対する措置の色で、
西洋的な考えから選ばれた色かも知れませんね。
東洋と西洋で、同じ色でもイメージが全く違いますので、
色彩心理でも解釈が難しい色です。
黄のルーツが神話からということも不思議な話ですが、
赤・青・緑の3つの視細胞から、脳へ伝達される過程で、
黄が生まれることも、医学的に解明できていない部分です。
「黄」は「気」でもあり、奥深い色です。
色彩心理4原色に選ばれる「命の源」色です。
Kommentare